
















デジタル写真の世界では、今でもたまに沸き起こるセンサーサイズと画質論争。
もちろん、センサーサイズが大きいほど、画素ピッチが大きいほど、画素数が多いほど、光で写し出される映像を構成する情報量は多くなるに決まっている。
しかし、情報量が多い写真=良い写真(或いは人々の心に響く写真)ではないから、画質論争は虚しい。自分の心が喜ぶような写真を撮りたくて、日々ファインダーを覗きシャッターを切るのだ。【私のような趣味の写真のお話です。写真を生業としクライアントに納品するような場合はまた違うのかと思います】
しかし一方では、新しいカメラやレンズが出るたびに『このカメラ、レンズでならもっと良い写真が撮れるのではないか』と下心がざわつき、試してみたくなる。だから、より高画素機へ、より大きいセンサーサイズへ、より明るいレンズへ はカメラ、写真趣味人のロマンのようなものだ。
私もこの一年で普通(カメラ趣味じゃない)の人の一生分、いや三生分くらいカメラやレンズを買った。確かに最新の機材を使うと画質の良い写真は撮れる。解像感、ピントの打率、手ブレがなく動きものも止められるシャープな画質。でも心に響く写真なんて滅多に撮れず、ロマンは砂上の楼閣のように崩れ散り、自分の写真に現実を突きつけられる。
ここに提示した写真は、私が所有する、してきた、あらゆるセンサーサイズ、カメラで撮影したものだ。センサーサイズも、1/1.3インチ、マイクロフォーサーズ、APS-C、フルサイズ(35mm)、ラージフォーマット、画素数も12百万、16百万、20百万、24百万、33百万、36百万、45百万、47百万、48百万、50百万、61百万。カメラの価格は10万円〜120万円、レンズの価格も3万円〜100万円。
この中でもし気に入った写真があるとしたら、その理由は画質ではなく、被写体だったり色味だったり、雰囲気だったり、人それぞれだろう。画質はどの写真でも十二分に良く、心に何も訴えてはこない。
